アイテム数が多すぎるアディダスのジャージを古着屋が解説!「あなたならどれを選ぶ?」
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メンズもレディースもキッズも着回せる定番の黒のセットアップジャージと言えば『アディダス』。
近年はスポーツミックスファッションが注目されていることもあり、「ジャージ」の見られ方も変わってきたように感じますが、中でも歴史が長くアイテム数も多いアディダスのジャージは、時代を問わず幅広い年齢層に愛されています。
「ジャージ」というカテゴリーの中にもさらにモデルやシリーズが分類されており、バリエーションも豊富なため、様々なファッションスタイルにマッチしやすく、古着好きにも昔からの定番アイテムです。
ただあまりにも種類が多すぎて、何を目安に選べばいいのか困惑する人も。
もちろん自分がピンときたものを手にするのが一番いいのですが、そのモデルがブームとなったきっかけや、その時々の時代背景なんかを知っておくと、またチェックするポイントが変わってくるかもしれません。
今回は、そういった新しい観点をご提供できるような、アディダスのジャージにまつわるエピソードや魅力をお伝えしつつ、古着屋目線でチョイスしたおすすめアイテムをご紹介したいと思います。
目次
今や世界中で愛されるアディダスのジャージ!その火付け役となったのは?
アディダスは、プロスポーツ選手だけでなく有名人や世界のセレブたちからも人気が高く、世界中のアディダス愛好家を挙げるとキリがありません。
今回は、その中でも世界中に影響を与えた数少ないブームの「火付け役」になった人物をご紹介したいと思います。
【RUN DMC】HIP-HOP界をアディダスに染めた80年代のスーパースター
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アディダスがスポーツ選手以外で初めてプロモーション契約を結んだのが、80年代HIP-HOPグループ『RUN DMC』です。
80年代以前に活躍していたHIP-HOPミュージシャンたちは派手なぶっとんだスタイルが印象的でした。
そんな中、大きな黒い帽子にアディダスのジャージ、足元は紐なしのスーパースター(アディダスのスニーカー)で登場した『RUN DMC』。
これまでのHIP-HOP界では見られなかったRUN DMCの新しいアウトフィットが、当時の若者の目には斬新に映り、絶大なファッションブームを引き起こしました。
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彼らのヒットナンバー『My Adidas』に合わせてアディダスのスーパースターを掲げる観客たち。
スーパースターが「スポーツシューズ」から「ファッションアイテム」として認識される道を切り開いた歴史的瞬間です!
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当時のブームから30年以上経った今でも、アディダスの黒いセットアップジャージは「RUN DMCスタイル」と呼ばれ、幅広い年代がその影響を受けています。
【Jamiroquai】アディダスのジャージはデビューから27年経った今も彼のトレードマーク
ポップス・アシッドジャズ界の帝王「Jamiroquai」(Jay Kay)もアディダスのヘビーユーザーとして知られています。
90年代で見られるビッグシルエットの流行に反して、Jamiroquai流のタイトな着こなしはまさに60~80年代のスポーツカジュアル。
細身のボディラインにアディダスのシンボルともいえるスリーライン(3本線)が絶妙にフィットしています。
出典:Instagram @jamiroquaifans (左:1993年、上:2011年、下:2020年)
ライブ中の曲の高揚やバックバンドのアレンジに合わせて即興で独特のダンス(ブレイクダンスやパントマイム)を披露してくれるJay Kay。
彼にとってアディダスのジャージとスニーカーは、ファッションとしてだけでなくステージパフォーマンスの必需品なのかもしれません。
1993年のデビュー当時ほど普段からジャージを着用することは少なくなりましたが、ステージ上では50歳になった現在も相変わらずのアディダス愛がうかがえます。
アディダスのアイテムでよく見る2つのロゴマークの違い
出典:Instagram @adidasoriginals
アディダスのアイテムを探していると、よく見るロゴマークが2種類あることに気づくかと思います。
古着のジャージに関しては特に写真下のトレフォイルマーク(三つ葉、リーフ)を探している方が多いのですが、両者の違いを簡単にご説明しておきます!
「トレフォイル」は70~90年代のアディダス歴代名作の象徴
出典:Instagram @adidasoriginals
1972年から1995年までアディダスの正式ロゴとして使用されたトレフォイル(三つ葉のロゴ)は、古代スポーツで勝者に授けられる「月桂樹の冠」をモチーフにしたにしたもの。
「90年代までのロゴなのに、最新モデルのジャージにもこのロゴを見かけるのはなぜ?復刻版?」
実は、現在アディダスは「アディダス・パフォーマンス」というスポーツウェア路線と「アディダス・オリジナルス」というストリートウェア路線の2つのラインに分かれていて、トレフォイルは後者のオリジナルスのアイテムに使用されています。
アディダス・オリジナルスもスポーツウェアの一部ではありますが、過去の名作や世界を代表するクリエイター・デザイナーとのコラボレーションなどをストリートウェアとして展開しているスポカジ寄りのラインナップとなっています。
⇒古着のアディダスのタグから年代を見分ける方法 60年代~90年代
現代の「スリーストライプス」ロゴはプロフェッショナルなスポーツシーンを先導
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一方で、スリーストライプスを使用している「アディダス・パフォーマンス」は、最先端の技術や素材を開発・採用によりアスリートの最高のパフォーマンスを実現することをコンセプトとしたプロフェッショナルなスポーツウェアを揃えています。
インスタグラムで「アディダスオリジナルス」と「アディダス(パフォーマンス)」を見比べていただくとわかりやすいのですが、後者は主にスポーツシーンを収めたショットが多いです。
アディダスのジャージを古着で選ぶならどっちを買えばいいの?
好きなものを買いましょう!「自分が気に入ったものが最善の選択」です!
が、古着好きはやはり独自のこだわりを持っている方々が多いので、「やっぱり三つ葉(トレフォイル)でなきゃ!」という方もいます。
特にコレクターの方はトレフォイルロゴ時代の70~90年代のジャージを探している方が多いです。
また、昨今の90年代ブームでビッグロゴを狙って来店される方もいます。90年代前半と後半でちょうどロゴが切り替わるので、これはどちらのロゴマークも該当しますね!
【定番からレアなお宝まで】古着で入手できるアディダスのジャージ
古着は数年前の比較的新しいものから50年以上もの歴史をもつレアなものまであり、そのアイテム数は膨大です。
中でも長い歴史を持ち、多彩なデザインやカラーバリエーションを持つアディダスのジャージにおいて、全てのシリーズやモデルを網羅するのは至難の業。
ここでは長年古着を愛し、アディダスジャージの変遷を追ってきた当店RUSHOUTの目利きスタッフが、独断と偏見でイチオシのアイテムを厳選してご紹介します!
まずは定番!アディダスのジャージといえば「スリーライン」
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ジャージ、スニーカー、そしてロゴマークまで、「3本のストライプといえばアディダス」というくらい世間に浸透している「スリーライン」デザイン。
このデザインの由来をお話しておくと、、、昔のスポーツシューズは革製だったため、履くうちにだんだん中足部が伸びてしまうという問題がありました。
それを解消するために中足部を3本のバンドで補強し、その部分の機能をデザインとしても表現するようになったのが始まりだそうです。(1949年)
スリーライン大好きコレクターから、ふらっと立ち止まってお気に入りを見つけて購入される方まで、スリーラインはアディダスのシンボルとしていつの時代もどの世代からも人気が高いです。
90年代スタイルを象徴する「ビッグロゴ」
90年代のアメカジファッションを象徴する「ビッグシルエット」と並ぶ「ビッグロゴ」は、当時のスポーツブランドが得意とする90年代のトレンドです。
もちろんアディダスもその例外ではありません!
ビッグロゴがプリント・刺繍されているアイテムはそれだけで存在感は抜群!!ジャージだけでなく、ジップアップパーカーやスウェットパンツも人気です。
古着入手難易度大!70~80年代の「ATP仕様」のジャージ
「古着 ×アディダスのジャージ」で外せないのが、こちらのATPモデル。
ATPとはthe Association of Tennis Professionals(世界プロテニス協会)のことで、70~80年代当時、アディダスはATPのオフィシャルサプライヤーとなっていました。
一番の特徴はスポーツジャージには珍しい襟なしのデザイン。
また、ポリエステルとトリアセテートの合成素材となっているため、生地表面の独特の光沢と肌触りの良さがあり、シワにもなりにくいです。
この襟なしデザインのジャージ(トラックジャケット)は「アディダス・オリジナルス」から生産されていますが、現在はリサイクルポリエステル100%を使用していることもあり、ATPモデルは復刻版では表現できないツヤ感と存在感があります。
ATPモデルかどうかの見分け方は首元のタグについているATPのロゴです。KEYROLANはフランスの化学繊維メーカーVENTEXが開発した生地の名称です。
当初はタグに「VENTEX」と表記されていましたが、1979年にアメリカのカリフォルニアに製造元を移した際に「KEYROLAN」という表記に変更されたということです。
つまり「VENTEX表記のものは70年代」、「KEYROLAN表記のものは80年代」と判別することができます。
主に男子テニスプレイヤー用に提供されたいたジャージで、一部女子プレイヤー用のものもありますが、古着市場にはあまり出回っておらずウィメンズ仕様は超レアなアイテムとなっています。
元ATPプレイヤーの「イワン・レンドルモデル」
さらにこちらはATPの記載はないのですが、チェコスロバキアの元テニスプレイヤー「イワン・レンドル」のシグネチャーモデル。
スリーラインがシンボルのアディダスには珍しいチェックプリントで、こちらも入手困難で高値がつきやすいのですが、もう引退した選手のモデルを目にするチャンスがあるのは古着屋に行く醍醐味ですよね。
アディダスからスポカジを生んだ「RUN DMC」:ジャージ以外にもシグネチャーアイテムがたくさん!
出典:Instagram @vernonsport
最後はやっぱりこの男たち!アディダスブームの火付け役となった「RUN DMC」です。
実は、ATPのジャージがタウンユースとして流行ったのも、彼らがブラックのATPジャージをセットアップで着用したことが始まりです。
ジャージだけでなく、スニーカーや「RUN DMCロゴ」がプリントされたパーカーなど、まさにアディダス界の"スーパースター"とも言える伝説のグループです。
古着屋RUSHOUTではアディダスのジャージを常時入荷中!あなたはどれを選ぶ?
今やプロフェッショナルなスポーツシーンとあらゆるスポーツMIXのファッションシーンの双方で存在感を醸しているアディダスのジャージ。
世代を超えて幅広い層に愛されるブランドなだけに、バリエーションが豊富な反面、入手困難な限定モノやレアアイテムも多いんです。
ただ、そういったお宝を発掘できたときの興奮と高揚感を人一倍味わえるのは、古着屋の特権なのかもしれません。
アメリカ古着を取りそろえるRUSHOUTは、ビンテージ古着を含め、全てスタッフがアメリカ現地で厳選して買い付けた商品ばかり。
長い歴史を持ち、時代と共にデザインやカラーの変遷が見えるアディダスのジャージ、周りとはちょっと違った個性的なアイテムをお探しの方は、ぜひRUSHOUTをご利用ください!!